仁宇暁子&徳島形象派

お知らせ

徳島形象派展2023

2023年03月04日(土)
  • 徳島形象派展

 

 ひな祭りに浮き立つような2023年3月3日、やわらかな日射しに包まれた徳島市八万町文化の森で恒例の徳島形象派展が開催となりました。

 30号から100号までのキャンバス17点、その他、カルトン画、水彩画、デッサンおよび感性トレーニングを加えて約100点の作品が展示されています。

 


キャンバス作品


 会場に一歩踏み入れると、正面中央に何か歌舞伎の舞台を思わせる輝きと静けさをまとった絵にとらわれてしまった。“2023仁宇暁子の世界”の始まりを象徴するかのような「音楽の旅」である。その隣にはほんのり灰茶色を帯びた室内になんとも楽しげに踊っているかのような椅子とテーブルが置かれている。作者が思い浮かばない。近づいてみるとその筆致は力強く堂々としている。松野純也作に違いない「白いキッチン」。阿部篤「静穏」の透き通るような空気感と穏やかな色彩の面と線の調和が美しい。鮮やかな青を力強くためらいのない筆さばきで魅了する御船真紀「青い空のはて」。変幻自在の形と色が前へ後ろへと画面からはみ出すように動き出す奥深い作品、吉川玉実「平和の祈り」。遙か彼方に送り出されるような樹木のタイムトンネルに吸い込まれる、のびやかな作品、岡島幸子「悠久の時」。






見ていると次々に画面内部に潜んでいる動物やら人の駆ける姿が現れてくる。不思議な興味深い作品、安井美千江「予感」。山口明美「続き」はとても自然で力みがなくすずやかな美しい作品である。いつも本当に好きなものを気取りなく、しかし大胆にそして絶妙の構図で描き出す上田仁子の作品に感じ入る。まさしく今回の「好きなもの」、純粋な心の姿が見えてくる。庄司しげみ「桜時」、描くことのよろこびが溢れている。充実した時間がうかがわれる。





カルトン画や水彩

 上瀧智子「ソンブレロの夢」異国の空であろうか、ためらいのない気持ちの良いタッチにひきこまれる。画面下部の山や町を切り取るようなスクラッチが空に抵抗するように存在感を見せている。長谷部尚子「心もよう」、万華鏡を覗いているのだろうか?とても楽しく遊び心に誘われる。たなかあかり「にんじんをたべたいうさぎさん」、少ない要素でこんなに見事に楽しいウサギの姿を表現しているのに感動である。周囲にちりばめられた花や蝶、作者が画面の中で一緒に遊んでいるようだ。増原萌子「再会」、色彩のコンビネーションがとても美しく、クレパスであろう線が毛糸のようなやわらかで糸がモヤモヤとちぎれた感じなど味わい深い。モチーフが少なくても立体感が表現されていることも興味をそそられる。




徳島形象派展2023

時:2023年3月3日~3月5日
場所:徳島県立近代美術館 1Fギャラリー




(記:小野)