目に見えないものや自然を、自分の知覚や感性でとらえることを第一義とする。また、どんなに美しい心、深い心情もそれにふさわしい形がなければ形象とは言えない。
私は、外観(形)と内観(象)を行き来しながら、そのどちらともつかない隙間に、イノチの在りかを追求したいと考えている。
「イノチ・シリーズ」では、藍染め、キャンバス、和紙による作品とサクラの花びらによるインスタレーション。サクラの花びらをイノチの象徴とし、藍と朱に籠める。藍染めには、泉のごとく生まれ変わるイノチのカタチ、朱は、今、咲き誇るイノチの姿を満開に表現する。
キャンバスでは、和紙や布で表現できないイノチの記憶を、色層空間で表現する。形ではないカタチ、色ではない「色」で内なる世界を目指す。気持ちも画面も抽象化し、イノチの審美に迫ろうと考えている。
2021/7/24 仁宇暁子